今回は「カヴェコ ペンシルスペシャル」や「ロットリング600 3in1」のレビュー記事でも少しだけ紹介した、土屋鞄のロールペンケースをレビューしていきたいと思う。
「テレワーク」でペンを持ち運ぶことが多くなった
現在の私の働き方は、このような感じ。
週の前半が出社
週の後半がテレワーク
自宅と会社で働くのが半々という形となっているので、仕事道具を「会社 ↔ 自宅間」で持ち運びすることがとても多くなった。
テレワークでは文房具が活躍
私がテレワークするうえで必要なモノを上げるとすれば、下記の3つ。
テレワークに必要なモノ
- 会社支給のPC
- 仕事用の資料
- 文房具(ノート、ペン)
パソコンや仕事資料が必要だと感じてはいたが、実際テレワークをしてみるとノートやペンといった文房具類が必要なシーンが多かった。
テレビ会議中は映像が画面を占領するため、いつものようにPCでメモが取りにくい。
会社にいればちょっと話しかけるだけでできた質問も、電話となると事前に話す内容をしっかりまとめておく必要がある。
意外にも、デジタルなテレワークではアナログな文房具が役立ってくれる。
最小限のペン類を、大切に持ち歩くために
テレワークで必要なモノを持ち運ぶ中で一番困ったのが「ペンの持ち運び」だった。
最近はペンのもち運びをしていなかったので、ペンケースを持っていなかった。
とはいえ、無造作にカバンに入れて持ち運ぶのは気が引ける。
(万年筆などこだわった筆記具を使っている方は特に困るはず。)
そこでペンケースの購入を決意した。
私はペンケース選びでこだわったのは以下の2点。
- 最小限のペンが入るモノ
- ペン同士が干渉しないもの
仕事で使うペンの種類は多くない。
シャープペン、赤、青、黒のぼるペンカラーがあれば十分で、ペンケースにたっぷり突っ込んで持ち運ぶ必要はない。
また、ペン同士が持ち運び中にこすれたり、ぶつかったりして傷つかない構造のペンケースが欲しかった。
そこでいくつかのペンケースを見ていった結果、最終的に土屋鞄製造所さんの「トーンオイルヌメ ロールペンケース」に出会うことになった。
アナログを突き詰めた土屋鞄ロールペンケース
私が使用しているのは革製品では日本でもっとも有名なメーカーの一つでもある、土屋鞄さんのロールペンケース。
カラーは限定職も含めて4種類ほどあったが、長く使う仕事道具にしたいと考えたため、変化が楽しめるブラウンカラーを選択した。
届いたときはこのようなしっかりとしたケースに包まれている。
誕生日のプレゼントや入学や就職用の贈り物にもぴったりなしつらえだ。
箱を開けると、中にはやわらかな布で覆われたペンケースらしきものが。
傷がついたりよれたりしないような配慮がうれしい。
箱から取り出して感じるのは優しい手触りと、革の香り。
ペンケースを止めるのは一本の革の紐。
ファスナーのようなワンタッチの構造ではなく、開閉にはくるくると紐をまいたりほどいたり。
このひと手間がなんとなく儀式めいていて、「今から開けるぞ」と自分の心に火が入っていくような気がしている。
デジタル全盛の時代の中、ペンというアナログな製品を、革というこれまたアナログな製品が包み込む。
持っているだけで楽しくなる、「ちょっと大人な」ペンケースだ。
ロールペンケースの仕様
サイズ
広げた時 タテ20.0cm×ヨコ19.2cm×高さ0.2cm
丸めた時 縦20.0cm×横5.6cm×高さ2.0cm
重さ 53g
持ち運びがメインになるので、丸めた時のサイズ感と重さががポイント。
私は身長175cm、手のサイズも一般的な男性サイズ。
ペンケースを丸めて、ペンを4本入れて手に取ったときのサイズ感が上記の写真だ。
手のひらにすっぽり収まり、バッグやリュックの中にノートと一緒に入れても邪魔にならない。
重さも53gと一本のペンと同じかそれ以上に軽いため、モチが媚には全く問題なし。
ポケットについて
広げてみると、ペン用ポケットが4つ、ワイドなポケットが1つある。
(ワイドなほうには定規や板状の消しゴム、シャープペンの芯などが入れられそうだ。)
それぞれのポケットにペンを一本ずる入れれば、ペン同士がぶつかって傷ついたりせず気持ちよく持ち運べるのもうれしいポイント。
普段から持ち歩くペンは
ボールペン:黒
シャープペン
3色マルチペン
万年筆
の4本なので収納力も十分。
ちなみにステッチも大変正確で、美しい。
そう簡単にほつれたりするような感じではいのはさすが日本製というところだろう。
万年筆や多色マルチペンは注意
ペン専用のポケットは単色ボールペンやシャープペンがぴったりサイズなので、万年筆や多色マルチペンは注意が必要。
ちなみに私の万年筆「ファーバーカステル エモーション」は胴が太いため、かなりぎゅうぎゅうな印象。
そのため、ワイドポケットの方に差し込んでいる。
3色マルチペン「ロットリング600 3in1」はぴったり収まったので、3色くらいまでは大丈夫。
(4色ペンはたぶん難しい。)
使われている革素材
このペンケースの表面には「トーンオイルヌメ」という牛の本革が使用されている。
トーンオイルヌメとは
植物の渋だけで鞣(なめ)した丈夫な革に、オイルをたっぷり染み込ませて作られた「オイルヌメ革」のこと。
触り心地はやわらかでさらさらとしており、優しい印象。
このペンケースの表面にはシボ(革の表面のシワ)があるので、ちょっとした傷なら指でこすってなじませれば気にならない。
裏面はふわふわした手触りのピッグスウェードが使われている。
表裏どちらも素敵な触り心地だ。
おすすめポイント5つ
ここからは土屋鞄ロールペンケースを使っていてよかったと感じたおすすめポイントを紹介していこうと思う。
①優しい手触り
開封時から手触りはしっとり柔らかく、吸い付くようになじむ。
本革によくある前面に押し出される力強さはなく、穏やかな表情がとてもとっつきやすいタイプの革。
サラサラと柔らかい革質を通して感じるのは、重厚感というよりむしろ優しさやしなやかさ。
とにかく触り心地が大変素晴らしく、デスクにおいてあると何気なく触ったり、紐をくるくる巻いてはほどいたりとすっかり虜になっている。
②経年変化を楽しめる
カラーはキャメル寄りのブラウンなので、使い続けていると経年による変化をしていくだろう。
少しずつ表情を変えていくのもまた、このペンケースを使う楽しみだ。
革の経年変化をどう考えるかは人それぞれだが、私は楽しみにしている方だ。
製品というものは「買った時が最高」というものが多い。
一方で、革製品やワインなどのアナログ製品は「つくったときが始まり」ともいえるだろう。
革製品は使い続けることで、手になじみ、色形が変わり、想い出が足され、自分だけのものになっていく。
少しずつ艶が増し、私ぴったりの姿になっていのがとても待ち遠しい。
③型くずれを気にしなくてよい
革製品を使うときにいつも気にしてしまうのが、「型くずれ」だ。
革小物(財布やポーチ)などはカバンやバッグにいれて持ち運ぶことが多いが、他のモノと一緒に入れるとぎゅっと押し付けられて型くずれすることがある。
大切にしていたモノがあらぬ方向に曲がってしまうのは、ちょっと悲しい。
特に革のペンケースはふわっとした厚みのあるサイズのモノが多く、カバンの中で押しつぶされてしまうことも多かった。
その点、土屋鞄のロールペンケースは安心だ。
- ボールペンが入っていればペンケース本体が変に曲がることがない
- 牛本革製なので使っているうちにすべてが経年変化(エイジング)されてくる
- その変化が、味になる
土屋鞄のロールペンケースは、たのペンケースと違いペンをやわらかで柔軟性に富んだ皮一枚がペンを密着するようにして包んでくれている。
ペンを入れていれば上から下までが一本の芯が入ったようになり、曲がったりひしゃげたりしない。
また、本革特有の経年変化(エイジング)が傷や汚れすら味にしてくれる。
革製品は決して変化に強いものではないが、使い続けていく中で起こる変化を受け入れる度量の広い道具なのだろう。
型くずれや汚れなど気にしないで毎日使っていこうと思っている。
④紐を結んでほどいてが楽しい
このペンケースは見ての通り、ペンケース本体を付属の革ひもでくるくるまとめて閉じる。
この作業は、ファスナー式のペンケースを使用していた時にはなかったものだ。
だが、使っているとこのひと手間がとても楽しい。
作業開始時にほどくときは「さぁ、やるぞ」という気持ちになるし、仕事が終わってペンケースを片付けるため巻きなおすときには「ふぅ」と深呼吸。
テレワークの課題として、時間の区切りがつけにくいということがよく言われるが、私はこの「ペンケースの開閉」のタイミングで仕事の区切りをつけるようにしている。
ストラップの巻き方を考えるのも楽しい
ストラップは47cmもあるのでいろいろな結び方ができる。
結び方ひとつでペンケースの表情が変わるので、新しい結び方を考えるのがこれまた楽しい。
ストラップの巻き方① プレーン
ストラップ先端をそのまま巻いてきた紐に刺し止めしたシンプルな結び方。
「くるくる、スポン」と通すだけのお手軽結びで、時間がないときに便利。
ストラップの巻き方② 蝶結び
こちらはかなりドレッシーな印象。
結ぶ手間はちょっとかかるが、個人的にはこの結び方が好きなのでいつもこの状態で持ち運んでいる。
⑤ペン立てとしても使える
このペンケースはケース本体を上半分から折り返して、おしゃれなペン立てにすることもできる。
- ペンの抜き差し、持ち替えが多いとき
- 作業デスクが小さいとき(カフェなど)
- デスクに書類を開いてスペースが少ないとき
等では、このペン縦スタイルが非常に使いやすい。
革は触り心地は柔らかいものの、素材自体は大変しっかりしているのでストラップでしっかりまけばそう簡単に倒れたりしない。
裏側はこんな感じ。
紐同士をくるくる巻いて固定してほどけないようにすればかなりしっかりと立ってくれる。
手で持っておけばペンの抜き差しも簡単。
ペンケースの中身
今このペンケースで持ち歩いているのは4つのペン。
①ファーバーカステル エモーション 万年筆
②ファーバーカステル アンビション ボールペン
③ロットリング600 3in1
④カヴェコ ペンシルスペシャル
それぞれ好きで買ったり、妻からのプレゼントだったりと大切にしたいペンばかり。
でも、道具は使ってなんぼだと思っているのでどんどん使い倒していきたいと思ってる。
(ちなみにペン類は、すべて私の大好きなドイツ製)
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まとめ
今回は、土屋鞄製造所の「トーンオイルヌメ ロールペンケース」を紹介してきた。
もともとペンには少しだけこだわりがあったので色々集めていたが、ペンケースをこだわって購入したのは今回が初めて。
このペンケースに出会ってからすでに数か月たっているが、傷んだりするところは全くない。
逆にしっかりオイルを含んでいるため、汚れをブラシで落とすくらいの手入れで十分なきれいさを保っている。
冬になれば乾燥すると思うので、早くクリームを塗り込みたいなと思っているくらいだ。
デジタル機器にばかりに触れる日々の中で、
「ペン(手書き)×革のペンケース(手作り)の出会い」
がこんなにも新鮮だとは思ってもみなかった。
少し距離ができていた「文字を書く」ということをぐっと自分のもとに引き寄せてくれた、この土屋鞄さんのロールペンケースに感謝でいっぱいです。